PBCF(プロペラボスキャップフィン)の発明
舶⽤プロペラのエネルギー損失原因として殆ど注⽬されなかったプロペラハブ渦に着⽬し、渦として無駄に捨てられていたエネルギーを回収し、結果としてプロペラのトルクを減らしスラスト増加させる装置であるPBCF(Propeller Boss Cap Fins)を1987 年に発明し、㈱商船三井所属のPCC「まぁきゅりーえーす」にて4%の⾺⼒節減効果を確認し商品化を⾏った。
プロペラハブ渦回収装置であるPBCFは順調に売上台数を積み重ね、2006年初に受注1,000隻を突破し、最近では急激な燃料油価格の⾼騰を受け以前の倍以上のペースで普及し3,500隻を超えるに⾄っている。
PBCFはプロペラ後部に位置しているため、その要⽬はプロペラ諸元には⼤きな影響を受けるが、船体形状にはほとんど影響を受けないため、どのような船種にも効果が期待できる。簡便な装置で3-5%のハブ渦エネルギー損失を回収することが可能であり、燃費節減効果だけでなく、CO2排出を抑制し地球環境への貢献にも寄与するものである。
PBCF⼩史
- 1986. 9 商船三井,⻄⽇本流体技研,ミカドプロペラの3社で共同研究開発を開始
- 1987. 3 新プロペラ単独試験法(逆POT)にてPBCF 効果を発⾒
- 1987. 7 特許申請(上記3社で共同出願)
- 1987. 9 PCC「まぁきゅりーえーす」の海上試運転にて4%の効率向上を確認
- 1987. 9 上記3社にて事業化基本協定を締結し販売事業を開始
- 1988. 3 東⼤でのキャビテーション試験でハブ渦消滅を確認
- 1988. 5 ⽇本造船学会へ技術論⽂発表
- 1988. 6 MARIN (オランダ)にて後流場の詳細計測実施
- 1989. 6 Nor-Shipping展⽰会(Oslo)に実物出品
- 1990. 1 CPP⽤の1号機をフェリー「ニューぺがさす」に装着
- 1991.12 ⼩型船⽤PBCF「冠太郎」を開発しミカドより販売開始
- 1994. 7 PBCF販売事業を商船三井からエム・オー・シップマネージメント(現商船三井テクノトレード)へ移管
- 1996. 9 ⽇本での特許が成⽴
- 2000. 6 装備船がエコシップに認定
- 2002. 6 装着船がe-シップ(⼆酸化炭素低減化船)に認定
- 2005. 8 NEDOの省エネ装置として認定
主な受賞歴
- 1990. 2 ⽇本機械⼯業連合会優秀省エネルギー機器賞
- 1990. 5 ⽇本造船学会賞
- 1991. 5 ⽇本舶⽤機関学会賞
- 1991. 7 運輸⼤⾂表彰